第一学院高等学校
2026年02月18日
【第一学院高等学校】教員インタビュー
第一学院高校は、「1/1の教育」を掲げ、生徒一人ひとりの背景やペースに寄り添う教育を実践する通信制高校です。学習面だけでなく、生活面・心理面も含めて生徒を支える体制を整え、多様な生き方や学び方を肯定する環境づくりに力を入れています。
今回お話を伺ったのは、町田キャンパスで国語科教員として勤務する、新卒4年目の石橋先生。通信制高校を選んだ理由、日々の業務、生徒と向き合う中で感じるやりがい、そして教員として大切にしている想いについて、語っていただきました。

第一学院高等学校
町田キャンパス
石橋先生
憧れの担任が原点。「一人ひとりに寄り添う教育」を求めて
まずは、教員を目指したきっかけと、第一学院高校に就職された理由を教えてください。
教員になりたいと思ったのは、中学生の頃です。当時の担任の先生が本当に素敵な方で、「こんな先生になれたらいいな」という憧れがありました。その気持ちのまま、中高の教員免許が取得できる大学へ進学し、教職課程を選択しました。
ただ、大学4年生で全日制高校に教育実習へ行った際に、現実も見えました。授業準備や校務分掌、行事対応などで先生方は本当に忙しそうで、「一人ひとりに寄り添う教育」をしたいと思っていた自分にとって、この働き方でそれができるのだろうか、と疑問を抱いたんです。
そこから、通信制高校という選択肢に目を向けられたのですね。
はい。実習後に改めて「自分は教員として何を一番大事にしたいのだろう」と考えました。教科の知識を教えること以上に、その子自身の成長や人生に関わりたいという気持ちが強かったんです。
そう考えたときに、生徒一人ひとりの背景や状況に合わせて関われる通信制高校の教育に魅力を感じました。いくつか学校を調べる中で、第一学院高校の「1/1の教育」という言葉を目にし、「まさに自分がやりたい教育だ」と感じました。
実は就職活動では、第一学院高校を第一志望にして、ここ一本で受けました。それくらい理念への共感が大きかったですね。
教えるより、支える。通信制高校教員の一日と生徒との関わり方
通信制高校の教員の仕事は、イメージしづらい部分もあると思います。石橋先生の業務内容について教えてください。
私は学習支援や生徒対応、ピアサポート活動などを担当しています。第一学院では、一人の生徒を全職員で担任する全員担任制を基本としています。加えて、町田キャンパスでは、一人の生徒に対してペア担当制を採用しており、より手厚く生徒をサポートする体制を整えています。
ピアサポートは、生徒たちが、自分も他の生徒も、より安心して学校生活を送れるよう考え、サポートをするというものです。レクリエーションの企画・運営や、中学3年生向けオープンスクールの運営補助、式典の手伝い、学校の郵送物の準備など、本当にさまざまな活動があります。
1年目はサブ担当のような立ち位置でしたが、2年目からはメインで関わるようになりました。日常的に生徒と顔を合わせながら活動を進めていくため、学年を越えたつながりも生まれやすいですね。
「全員担任制・ペア担当制」というのは初めて聞きました。どんな仕組みなのでしょうか?
いわゆる「このクラスの担任」という形ではなく、1年生から3年生までを縦割りで担当します。
「この子はこの先生だけが見る」という形ではなく、キャンパス全体で情報共有しながら支えるのが特徴です。キャンパスによって体制は異なりますが、町田キャンパスではここ数年この体制を続けています。
授業はどのように行われているのでしょうか?
町田キャンパスでは一斉授業はほとんどありません。週に一度の学年ごとのロングホームルーム(LHR)や、プロジェクト型学習などはありますが、全日制高校のように各教科の授業は行っていません。
普段は、生徒それぞれが「マイプラ(マイプラン)」と呼ばれる週間計画を立て、自分のペースで学習や活動を進めています。「マイプラ」では、「何曜日の何時から登校するか」「どのフロアで何をするか」まで生徒自身が決めます。
会話しながら活動できるフロアと、静かに集中して学習するフロアが分かれているため、その日の気分や取り組む内容に合わせて場所も選びます。各フロアには教員がいて、「計画通り進んでいるかな」「困っていることはないかな」と声をかけながらサポートしています。
クラス単位で同じことをするのではなく、一人ひとりが自分の目標に向かって過ごすスタイルです。
自主性が育ちそうですが、自分で計画を立てて実行するのは大変ですよね。
そうですね。やはり最初のうちはなかなか決められない生徒も多いです。「マイプラ」はLHRの時間に決めるので、その際は担当教員がサポートしています。次週のLHRで振り返りを行い、また次の計画を立てるというサイクルを続けていく中で、皆徐々に慣れていきます。
生徒の主体性が育つという観点では、「探究発掘タイム」という時間もあります。先生発信のプロジェクトとは別に、生徒自身が“自分のプロジェクト”を立ち上げることを目指しています。学校生活をより良くする活動など、生徒の気づきから生まれた取り組みが実際に動いています。
教員は主導するというより、見守りながら必要なサポートをする立場ですね。生徒の発想や主体性がそのまま形になっていく場だと思います。
LHRや各フロアを担当する先生は決まっているのですか?
時間割で決められていて、前期・後期で担当が変わります。生徒を見る時間は時間割上では1日2~3時間程度ですが、私は時間があれば担当外の時間にもよく顔を出しています(笑)。
教科指導も生徒対応の一部だと感じているので、業務全体の6~7割は生徒対応ですね。
生徒に寄り添いたいという石橋先生の思いが実現できているのですね。プロジェクト型学習(PBL)についても教えてください。
町田キャンパスでは、いくつかのプロジェクト型学習が通年で動いています。「子ども」「福祉」「中学生」をテーマに、それぞれの対象に対して高校生の自分たちに何ができるかを考え、実際に行動に移す活動です。
例えば福祉分野ではデイサービスセンターを訪問してボランティア活動を行うなど、机上の学びだけでなく、社会とつながる経験ができるのが特徴です。参加は任意で、興味のある生徒が自分の意思で参加します。
私は「子どものためにプロジェクト」を新卒1年目のときに立ち上げ、現在も担当しています。地域の子どもセンターに行って交流したり、キャンパス内で小学生向けのイベントを開催したりと、活動内容はさまざまです。
もともと子どもと関わることが好きで、大学時代にもキャンプ活動などをしていたことから、「子どものために何かできることを」と思って立ち上げ、今も形を変えながら続いています。
その子なりの成長に寄り添う。通信制高校教員としてのやりがい
通信制高校で働く中で、特にやりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?
生徒の変化を間近で見られることですね。通信制高校には、本当にさまざまな背景を持つ生徒がいます。中学時代に学校に通えなかった子、全日制高校から転入してきた子、それぞれスタート地点が違います。
だから、「全員ここまでできるようにしよう」という一つの基準ではなくて、その子にとっての頑張りや、その子にとってできるようになったことを見つけて、一緒に喜べることが何より嬉しいです。
点数や順位のような分かりやすい評価ではなく、「これ得意だよね」「ここすごく伸びたよね」と伝え続けることで、生徒自身が「自分ってできるんだ」と実感してくれる。その実感が自信になって、次の挑戦につながっていくんです。そこに立ち会えるのは、この仕事ならではの魅力だと思います。
逆に、先生として大変だと感じるのはどんな時でしょうか?
生徒同士の人間関係のトラブルが起きた時は、やっぱり簡単ではないですね。例えば学校行事の準備などで、意見がぶつかったり、気持ちのすれ違いが起きたりすることがあります。
そういう時は、一人ひとりの話を丁寧に聞きながら、誰の気持ちも否定しないように気をつけつつ、どうしたらみんなが納得できる形に落ち着けるかを考えます。正解が一つではないからこそ、時間もエネルギーも必要で、大変だなと感じる場面です。ただ、それも含めて「人と人が関わる学校らしさ」だと思っています。
あとは正直に言うと、事務作業は少し苦手ですね(笑)。大変というほどではないですが、「頑張らなきゃ」と思いながら取り組んでいます。
生徒と関わるうえで、大切にしていることはありますか?
「否定しないこと」と、「答えを押しつけないこと」です。大人から見たら「こうすればいいのに」と思うこともあります。でも、本人が納得していないと、結局は行動につながらないんですよね。だからこそ、その納得感を一緒につくることを意識しています。
生徒が感じたことや考えたことは、まずそのまま受け止めます。悩み相談を受けた時も、こちらがすぐ答えを出すのではなく、質問を重ねながら気持ちや考えを整理していって、その子自身が納得できる答えにたどり着くことを大事にしています。
今後、どんな教員になっていきたいと考えていますか?
今はまだ生徒と年齢が近いこともあって、その近さを活かした親しみやすさや話しやすさは大事にしたいですね。「ちょっと相談してみようかな」と気軽に思ってもらえる、居心地のいい存在でありたいと思っています。
一方で、これから経験を重ねていく中では、言うべきことをきちんと言える教員になることも目標です。
通信制高校には本当にさまざまな背景の生徒がいるので、どこまで踏み込むべきか迷う場面も少なくありません。今は「受け止める」ことを大切にしていますが、時には一歩踏み込んだ言葉が、その子の成長につながることもあると思っています。
だからこそ、寄り添うだけでなく、必要な時には背中を押すこともできる。そんなバランスの取れた教員でありながら、今と同じように生徒と一緒に笑ったり、楽しんだりできる存在でいたいですね。

3年生の生徒
「石橋先生には、1年生の時から3年間、担当として本当にお世話になりました。入学当初の僕はかなり内気で、人とほとんど話さず、一人で勉強していることが多い生徒でした。そんな僕にとって先生は、いつも同じ目線で話してくれる、すごく話しやすい存在でした。
少しずつ先生と話す機会が増える中で、ピアサポートやプロジェクト活動にも挑戦するようになり、友達が増えて、学校がどんどん楽しい場所に変わっていきました。気づけばいろいろな活動に参加するようになっていて、自分でも「こんなに前向きになれるんだ」と驚いています。
3年生になってからは、進路のことで特にたくさん相談に乗ってもらいました。大学探しから受験準備まで、悩んだ時も迷った時も、先生は否定せずに話を聞いてくれて、一緒に考えてくれました。その時間があったからこそ、自分の選択に納得して受験に向かうことができたと思っています。」
2年生の生徒
「石橋先生は担当の先生ではないですが、1年生の4月からピアサポート活動でずっとお世話になっている先生です。入学したばかりの頃の私は人と話すのがあまり得意ではなく、自信もなくて、「やってみたいけど一歩が出ない」タイプでした。
そんな私に先生はたくさん声をかけてくれて、時には冗談を言って笑わせてくれて、少しずつ学校にいる時間が安心できるものに変わっていきました。先生は明るいだけでなく、生徒のことを本当によく見ていて、小さな変化にも気づいてくれます。私が挑戦したい気持ちを迷っている時には、「やってみる?」と背中を押してくれました。
文化祭の実行委員や後輩との関わりなど、不安が大きい場面でも挑戦できたのは、先生が見守ってくれていたからだと思います。今、毎日を楽しいと思えているのは、あの時たくさん声をかけてもらった積み重ねがあったからです。石橋先生は、私にとって一歩踏み出すきっかけをくれた先生です。」
チームで支える職場環境と、若手教員へのサポート
職場の雰囲気についても教えてください。
本当に優しい先生が多くて、「みんなで助け合いながら、生徒をチームで支えていこう」という空気が根底にあります。誰か一人が抱え込むというより、「それ一緒に考えようか」「こっちはフォローしておくね」と自然に声がかかるような環境です。
先生たちは職員室にいる時も、生徒と関わっている時も、あまり雰囲気が変わらない人が多いですね。いい意味で“先生らしすぎない”というか、自然体のままで生徒と関わっている方が多いと感じています。
職員同士の関係性もすごく良くて、働いている立場としても、「こんなこと言ったらよくないかな」と気にしすぎることなく、困っていることや気づいたことをオープンに話せる雰囲気があります。風通しはとてもいい職場だと思いますね。
石橋先生は1年目から町田キャンパスだったとお聞きしました。最初は戸惑うことも多かったと思いますが、若手教員へのサポート体制はどうなっているのでしょうか?
制度面でいうと、「ST(Study & Training for Own Development)制度」という研修制度があり、1年目向けの「ST1」研修があったのが大きかったです。新任の先生はそれぞれ別のキャンパスに配属されることが多く、普段はなかなか同期と会えないんですが、ST研修がオンラインや対面で定期的に実施されていて、そこで横のつながりを作ることができました。
研修では知識を学ぶだけでなく、「最近こんなことがあった」「ここができるようになった」と振り返る時間もあって、自分の成長を言語化できる機会になっていました。日々の業務に追われていると流れてしまいがちな気づきを、きちんと立ち止まって整理できたのは、1年目の自分にとってとてもありがたかったですね。
制度以外の、周囲のフォローはいかがですか?
周りの先生方の存在にすごく支えられました。私が入った当時は、先生の人数が少なめで全体的にバタバタしていた時期だったんですが、それでもピリピリした空気になることがほとんどなかったんです。
1年目は分からないことだらけで、聞きたいこともたくさんありましたが、誰に聞いても嫌な顔をされることがなくて、「いつでも聞いていいよ」という雰囲気がありました。遠慮せずに相談できたのは本当に大きかったです。
また、生徒との距離も近いので、関わり方に迷った時に、生徒からヒントをもらうこともありました。そういう姿勢に対しても、他の先生方が「それもいいよね」と受け入れてくれて。「自分のキャラクターや強みを、そのまま出していい」という空気の中で働けたことが、安心感につながっていたと思います。
教員を目指す方へ、石橋先生からのメッセージ

通信制高校の教員に向いているのはどんな人だと思いますか?
人と関わることが好きな人は向いていると思います。生徒とも保護者とも、日々の関わりの積み重ねで信頼関係が築かれていきます。その中で生徒は少しずつ変わっていくので、「人と向き合うことが好き」「相手を知ろうとすることが苦じゃない」という人には、とてもやりがいのある仕事だと思います。
最後に、通信制高校教員を目指す方へメッセージをお願いします。
大学生の方や、これから就職を考える方ですと、「社会人ってどんな感じなんだろう」「この選択でいいのかな」と悩むことが多いと思います。私自身、就職前は不安もたくさんありました。でも今思うのは、「自分が大切にしたい価値観」を軸に環境を選ぶことが、本当に大事だということです。
自分が自分のままでいられて、誰かの役に立てる場所は、きっとどこかにあるということです。「教員だからこうあるべき」「この学校だからこうしなきゃ」ではなく、自分が輝ける場所を探してほしいなと思います。
通信制高校の教員は、生徒一人ひとりとじっくり向き合いたい人、人と関わることが好きな人には、本当に向いている仕事だと思います。生徒と一緒に悩み、一緒に考えながら成長していく。そのプロセスを大切にできる方と、ぜひ来てほしいですね。
石橋先生と生徒さんの関係性を見ていても、生徒さんとの関わりを大事にしたいという方にぴったりの環境だと感じました。本日はありがとうございました!
